AEEアジア&パシフィックリジョンカンファレンス参加中です。AEEは、野外教育に関する研究、実践のカンファレンスを提供するという役割がありますが、もう一つ、アウトドアプロバイダーに対するプログラム公認という役割があります。今回、AEEアジアの劇的な発展を受けてか、とうとうAEE公認プログラムのワークショップがあり、アジアのアウトドアプロバイダーたちで溢れかえる、超満員御礼のワークショップとなりました。
1.AEE公認プログラム
2.デュークオブエジンバラアワードとセットで
3.WEAの生きる道
4.AEE公認プログラムは日本に必要か?
1.AEE公認プログラム
これは、American Camping Associationが提供するACA公認プログラムと並び、学生時代からキャッチアップしていたプログラムです。当時(1990年代)より、日本の野外には業界基準が必要と訴えていましたが、ACAが組織キャンプに対し、AEEはAdventure-Based Programに対する公認基準です。
今回は読者による情報の一人歩きすることを避けるために、詳しい内容までには触れませんが(知りたい方は浅草までどうぞ)、基本的にはどの公認プログラムにもあるように、膨大なチェックリストがあり、一定の基準を満たしたら、お金を払って公認してもらえるというものです。
全ての公認プログラムがそうですが、業界の健全性を保ち、参加者の学びと安全を保証するのが目的です。AEEではそのために、業界基準を設定し、専門家による審査機関を作り、アウトドアプロバイダーの教育と評価を行っています。
公認、維持の手順は、①申請→②基準に基づいた内部チェック(セルフスタディ)→③審査依頼→④現場審査(サイトビジット)→⑤評価→⑥公認→⑦年次報告の提出による公認維持というサイクルとなります。
2.デュークオブエジンバラアワードとセットで
The Duke of Edinburgh’s Award(DofE)は、以前ブログにも紹介しました14歳から24歳までの青少年に対する国際的な教育プログラムです。アジアで活況のインターナショナルスクールのCASカリキュラムと、DofEの認定基準の親和性が高く、多くのインターナショナルスクールが生徒に対して、DofEの提供を望んでいます。そして、ここに含まれるアドべンチャージャーニー(冒険旅行)が、アジアのアウトドアプロバイダーにとって最大のマーケットになっているというわけです。
アジアのアウトドアプロバイダーはまさに玉石混淆です。インターナショナルスクールとしてみたら、できたらネイティブの英語で指導してもらいところでしょうが、英語がしゃべれても優れた野外指導者、アウトドアプロバイダーとは限りません。そこでインターナショナルスクールにとって、最大の信頼となるのが公認システムということです。現在アジアは、日本と同様に公認システムが機能していない状態です。ただし、とうとうAEE公認プログラムが上陸してしまった以上、今後インターナショナルスクールの案件を取るためにも、公認ラッシュが起こることは必至でしょう。DofEを出したいインターナショナルスクールと、公認をとって信頼を得たいアウトドアプロバイダーの業界の仕組みが、ガッチリとはまり始めました。
3.WEAの生きる道
改めて、WEAのミッションを確認しますが、WEAは、有能な野外指導者の育成を目指しています。そのために、野外指導者の基準を作り、その基準に基づいて野外指導者を育成できる団体を公認します。さらに、その野外指導者とは、4泊5日以上のウィルダネストリップを指導できる知識と技能を有します。この2つが、DofEとAEEをつなぎ、DofEを形骸化させず、本当に価値のある経験をした若者にDofEを提供するための肝となるもう一つのピースとなります。
AEE公認プログラムに、当然スタッフの審査基準はありますが、野外指導者の資質は、各国の野外の歴史、法律、既存のアクティビティ団体によってさまざまであり、国を超えて統一することは困難です。よって、AEE公認プログラムは、「その国の基準を満たしているかどうか」を問うだけで、具体的な指導者の資質に対しては触れていません。日本にこの基準を当てはめたら何が起こると思いますか?おそらく全ての団体が「Yes」と回答し、公認プログラムの意味がそもそもなくなるでしょう。それに対してWEAは、野外指導者養成カリキュラムと、そのカリキュラムを提供できる野外指導者養成学校の公認を、一つのパッケージにまとめています。一方で、AEEのように、参加者に提供するアウトドアプログラムに対する公認はありません。つまり、WEAで育成された有能な野外指導者が、AEEで公認を受けたプログラムを指導して、初めてサービスの質を維持できるというわけです。
もう一つ重要なのが、AEE公認プログラムは、基本的には、オーバーナイトの技能を問題としていません。選択項目として、バックパッキングあり、オーバーナイトのプログラムを提供できる技能がなくとも公認を受けることができます。一方で、DofEの冒険旅行は、ブロンズで1泊2日、15歳以上シルバーで2泊3日、16歳以上24歳までのゴールドで3泊4日のウィルダネストリップが定められています。AEE公認をとったからといって、DofEの冒険旅行の条件を満たすものではありません。一方で、WEAのCOLは4泊5日以上のウィルダネストリップを指導できる技能を認めています。単にAEE公認だけでは、現在すでに起こっているように、DofEの拡大(縮小)解釈により、ホテルでオーバーナイトという、エジンバラ卿の思いとは全く別物になってしまいます。DofEの本部では、表向きはウィルダネストリップを条件としいますが、彼らの本心や、どこまでに容認しているのか、もう少し見極めたいものです。
AEE公認プログラムは日本に必要か?
必要かと問われると、答えはYESですし、そんな業界を目指すことが、個人やBCのミッションですが、現状では3つの理由から時期早々でしょう。
一つ目は、公認基準を満たすためのインフラの未熟さです。野外救急資格はようやく認知されましたが、まだ必須とは言えません。公認基準にある専門家による外部レビューなど、誰が専門家?って感じですし、そういったレビュー組織や、野外のコンサル業も成立していません。これらの社会システムが成熟しない限り、公認基準を満たすことはできないでしょう。
2つ目は、形骸化です。公認基準は単なるチェックリストです。サイトビジットでそれを評価するのも日本人です。AEEの公認基準は、その国のシステムや、法律に準拠して審査することとなっています。つまり、放置状態になっている野外の業界が、同業者で組織さえたレビュー機関の評価を受けても、ほぼ意味をなさないでしょう。先行する旅行業界の、
3つ目は、アメリカに公認料を上納し続けることができるかという問題です。WEAでも、LNTでも、日本の仲間たち強いたアンフェアな状態を解消するために、正式に日本ブランチを立ち上げました。AEEに関しては、AEEJはあり得ないでしょう。日本の業界がアメリカに公認料を支払っても、そのメリットを十分に取り返せる、高付加価値なサービスを提供できるようにならない限り、成立しないビジネスモデルす。また、公認マニュアルを誰かが全部日本語訳して、国内の事務局を立ち上げて、細々と中間マージンをとったところで、その苦労に見合うベネフィットは得られません。ただし、アジアでは、このシステムがこれから機能し始めるということも知っておきましょう。
終わりとして
AEEは、Adventure-Based Programに対する公認基準を作っているように、ウィルダネス教育のグループを起源とします。一方で、「体験教育」という広義性から、今日のAEEは必ずしも野外に限った組織ではなくなっています。今回のワークショップも、私のSPECも含めて、80%は野外以外です。そこに、原点回帰の役割も含め、ウィルダネス教育のグループのコミットメントが必要になってくるでしょう。
来年は、日本がWEA、LNTをインプットした中国成都での大会です。AEE初体験のアジアの野外指導者たちが、AEEの現状を体験して迷宮に迷い込まないように、中国の仲間と協働して、何か「原点回帰」の一撃を発信したいものです。
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本格的に野外指導を勉強し、指導者を目指したい方は、Wilderness Education Association Japanのサイトをご覧ください。