チームでめざせゴールドスタンダードサイト

LNT_USには、LNTの優れた取り組みをしている自然公園に対して認証を与える「ゴールドスタンダードサイト」というプログラムがあります。LNTグローバルサミットのプレエクスカーションとして、コロラド州の州都デンバーの郊外にあり、ゴールドスタンダードサイトの認証を受けた、ロックスボロー州立公園を訪れました。

ゴールドスタンダードサイトプログラム

アメリカの国立公園を管理する連邦政府の国立公園局、国立森林公園を管理している連邦森林局、各州ごとに整備されている州立公園の全米の統括団体である全米州立公園協会が、LNTと覚書を交わしているため、基本全米の自然公園にはLNTが導入されています。ゴールドスタンダードサイトはその中でも優れた取り組みを行っているという自然公園が認証されるので、そもそもまだLNTが導入されいてる国立公園、国定公園がゼロの日本では、何年後に実現するのだろうかといったところですが、いつかはLNTJでも始めたいプログラムの一つです。

観点は、「スタッフ」「ボランティア」「研修」「看板」「教材」「オンライン情報」「プログラム」「青少年」「パートナーシップ」の九つのクライテリアによって評価され、それぞれが四つの水準で評価されます。

日本の皆さんにも、皆さんのキャンプ場や施設でLNTをレベルアップするためにも参考になりますよね。

ロックスボロー州立公園

ロックスボロー州立公園は、7500万年前の地層が剥き出しになっていることが特徴的な公園で、2018年にゴールドスタンダードの認証を受けました。圧巻の巨岩、奇岩だけでなく、ミュールジカ、マウンテンキャット、プレーリードックなどのアメリカならではの小型から中型の野外動物に高頻度で遭遇できます。ゴールドスタンダードの評価基準になったのかどうかは確認しませんでしたが、数年前からバイカーやペットを禁止にしたことで、ビジターが増加しとのことでした。もしかしたらこの公園の野生動物の多さは、この二つの禁止の効果もあるのかもしれませね。

LNTの導入は、常設では、ゴミの分解速度を実際に示した屋外のディスプレイや、LNTロックスボロー7原則、館内シアターでのLNTムービーなど、シンプルかつ充実した内容でした。また、公園のイベント時にはLNTブースを出展し、来場者に分かりやすくLNTを体験してもらうプログラムも充実していました。いずれもほとんど予算をかけずに、できていたので、みなさんのキャンプ場でもできそうですね。

LNTプロジェクトチーム

ロックスボロー州立公園では、2015年にLNTのゴールドスタンダード認定を目指し、5名のプロジェクトチームを結成し、公園管理の検討、LNT教材開発、プログラム開発、レンジャー養成を行ってきたそうです。公園内には、プロジェクトチーム結成前のソーシャルトレイルがまだ残っていましたが、その侵入を防ぐように、新たな策が設置されるなど、公園の環境保護に向けて、さまざまな対策が講じられたそうです。5名のうち2名はレベル2インストラクターを取得しており、公園内で他のレンジャーやボランティアに対して、L1を養成できる体制が整えられています。

国内でも多くのキャンプ場や野外施設で、LNTの導入が始まっていますが、ビジターにLNTを伝えるための教材開発、ディスプレイ、ワークショップなどはまだまだこれからといえます。市民にLNTを普及するためには、インターフェイスとなる、キャンプ場やビジターセンターなどでのLNTの教育が不可欠です。現在850名のLNTメンバーと、100以上の団体メンバーの方が国内で活躍していますので、それぞれの地域や組織ごとにLNTプロジェクトチームを作り、みなさんの施設管理やサービスを、公園評価のルーブリックに従い、もう一度見直してみるのも良いタイミングかもしれません。そしていつか、日本でもゴールドスタンダードサイトプログラムをスタートできる日を夢に見ます。めざせ、ゴールドスタンダード第1号!!!