WBLS Course

コース概要

WBLSコースは、通信手段が確保されており、1時間以内に救助が来るフロントカントリーにおける応急処置をカバーしています。野外状況における一次救命処置と、短距離の避難のための四肢の固定が含まれます。WBLSは、1日の対面コースのみを提供しています。
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なぜフロントカントリーで野外救急法が必要なのか

カーラーの救命曲線

カーラーの救命曲線とは、心停止、呼吸停止、大出血の経過時間と死亡率の関係を示したものです。大出血の処置は、救急車の最大到着時間である15分を超えた時に問題となるため、都市救急の応急処置プロトコルでは、処置に限界があります。

脊椎保護

野外状況において、事故が発生する場所には、崖、岩、川、雪崩など、危険箇所が存在します。都市救急下にいてこれらの危険箇所は考えにくいため(災害時等を除く)、脊椎損傷の疑いがある傷病者も、その場でできる限り動かさないことが推奨されます。一方野外状況では、危険箇所からの移動は、傷病者だけでなく、救助者の安全を守るために、一次評価(主要器官系の評価)の前に行う必要があります。そのため、脊椎保護の技術が不可欠となります。

長時間の環境への曝露

1時間という時間は、動けない傷病者にとって、低体温、熱中症など、環境の問題が新たに起こるには十分な時間です。そのため、外傷に加え、これらの環境の問題を評価し、適切に処置することが野外状況においては必要となります。

四肢の固定

上記の長時間の環境への曝露を理由に、もし自立歩行が可能な傷病者であれば、その場に1時間待機するよりも、できる限り早く環境の問題から離脱し、安全な場所まで移動すべきです。そのために、WBLSには、四肢のケガを評価し、固定する技術が含まれています。

WBLSの活用範囲

キャンプ場管理者

キャンプ場の管理者は、キャンプ場内で発生した事故に対して、法律上の「救助義務」を負います。フロントカントリーであるキャンプ場内であっても、救急車が事故現場まで侵入できないケースがほとんどです。また、場所によっては救急隊員が活動できない場所もあります。その場合、キャンプ場の管理者が傷病者を救急車が侵入できるところまで、担架で搬送しなければなりません。

サイクリングガイド

サイクリングは通常車道で行われているため、ほとんどの場合救急車が到着することができます。ところが、山岳ロード、非居住地、原野など、最寄りの消防署から数十キロ離れている場合には、通常の都市救急の時間内に救急車が到着できない場合もあります。ただし、林道やグラベルロードなど救急車が侵入できないルートを活用する場合は、より上位の野外救急資格が必要となります。

パドリングガイド

日本の川の多くは、すぐ横に車道が並走しています。そのため、川で事故が起こった場合には、車両が入るところまで下るよりも、すぐ脇の車道に搬送した方が、救急車への接続がよりスピーディーに行われる場合もあります。ただし、ルート上に車道から離れた山間部等を移動するセクションが含まれる場合、より上位の野外救急資格が必要となります。

サイドカントリースキーガイド

ニセコ、白馬エリア、妙高エリア、湯沢エリアには、リフトでアクセス可能なバックカントリー(サイドカントリー)での事故に対して、有料で救助体制をとっている先進的なスキー場があります。これらのスキー場では、パトロールに通報することにより、1時間以内に到着する可能性があります。ただし、救助が行われるかどうかは、場所、地形、天候、雪崩リスクなどにより1時間を超える、もしくは行われないこともあることを理解しなればなりません。

スキーパトロール

現在スキー場パトロールの多くは、都市救急のプロトコルで救助を行っています。一方で外傷により意識のない傷病者をスノーモービルまで移動する場合にも、脊椎保護の技術は本来必要であるべきです。さらに、スキー場内の雪崩埋没者に対する心配蘇生も、現行の都市救急の資格の範囲ではCPRを中止することはできません。スキー場利用者だけではなく、スキー場パトロールの安全のためにも、野外救急のプロトコルが適応されるべきです。

教育キャンプボランティアスタッフ

教育キャンプでは、少人数のキャンパーを、大学生や保護者などのボランティアスタッフが引率するケースが一般的です。また、野外活動の特性上、これらのスタッフが、常にディレクターの監視下にあるとは限りません。一方で、これらのスタッフにも法的な救助義務が発生するため、その場にディレクターがいない場合には、直ちに一次救命を開始しなければなりません。これらのスタッフは、専門職ではないため、高額で、長期間の野外救急コースを受講することを躊躇するでしょう。また、一度限りのスタッフにWFA以上の野外救急資格を取られせることも、経営を圧迫します。ディレクターがより高次の野外救急資格を維持し、事故現場まで1時間以内に到着することができる場合、その間、スタッフが適切に一次救命を行っていることが、どれだけクライエントを守り、キャンプの組織やサービスを維持することにつながるか計り知れないでしょう。

WBLSの活用範囲外

以下のような野外状況で活動する場合、WFA(通信手段があり、1日以内に救助が到着する)以上の野外救急資格を推奨します。

1)キャンプ場の敷地内に山野があり、明らかにハイキングの範疇と考えられる場合。
2)サイクリングで、林道など救急車が侵入できないルートを通過する場合。
3)マウンテンバイクで、山野で活動する場合。
4)パドリングで、車道から離れた河川を通過する場合。
5)パドリングで、河川から車道への移動が、極めて困難な場合。
6)サイドカントリースキーにおいて、スキー場の救助の範囲外を滑走する場合。