LNTが当たり前バックカントリーキャンプサイト

日本でもバックカントリー、例えば大雪やアルプスなどにも、キャンプサイト、いわゆるテン場はありますよね。テン場の基本スペックは、スペースがあるだけですが、日本の多くの場合は、山小屋のトイレ、水道などを使うことが多いですかね。

アメリカの国立公園にも、長期ルート場にはキャンプサイトが点在しています。LNTグローバルサミット参加のおりに、ロッキーマウンテン国立公園内の最高峰であるロングスピークにハイキングに行ってきましたので、ビバークはしませんでしたが、途中にあったキャンプサイトを紹介します。

ロッキーマウンテン国立公園

4000m級のピークが連なり、北米で最も高いビジターセンターがあることでも有名です。また、大型の野生動物の遭遇機会が多いことも特徴です。たった1日のハイキングでも、エルクの群れ、ムースなどの大型の動物のほか、ナキウサギ、雷鳥など日本でもお馴染みの動物たちに出会うことができました。つまり、バックカントリーキャンプサイトの周りにもこういった生き物たちが普通に暮らしている環境であるということです。

パーミッション

アメリカの国立公園は、フロントカントリーのキャンプサイトと、バックカントリーでは全く違います。私たちが登った10月はすでに閑散期であるため必要はありませんでしたが、シーズン中はバックカントリーエリアでオーバーナイトをする場合には、必ずパーミッションが必要です。このパーミッションは、ビジターのスキルチェック機能もありますが、キャンプサイトの利用者数のコントロールの役割もあります。

キャンプサイト

ロングスピークエリアには、二つのバックカントリーキャンプサイトがありました。いずれも、トレイルから数十メートル奥まったところにありました。基本スペックは、プラットフォームのみで、フロントカントリーのキャンプサイトの基本スペックである、ウォータータブ、ファイヤーサークルと、キャンプ場の基本スペックであるベアコンテナやトイレはありませんでした。いずれのキャンプ場も近くに水源があり、水はここからとります。それぞれのキャンプサイトは、林でプライベートが保たれており、日本のように隣のハイカーを気にするようなことはありません。正確ではありませんが、全部で10数個のサイトがあったかな?

LNTが当たり前

このサイトでキャンプするためには以下の課題をクリアしないと使うことができません。

・ウォータータブなし→水の浄化
・ファイヤーサークルなし→マウンドファイヤー(ロングスピークエリアでは焚き火禁止でしたが)
・ベアコンテナなし→ベアバックもしくはベアキャニスター
・トレイなし→キャットホール

アメリカのフロントカントリーキャンプサイトでも当たり前ですが、流し場、残炭捨て場はもちろんないので、

・流し場なし→グレーウォーター
・残炭捨て場なし→炭の処理

まとめ

バックカントリーキャンプサイトは、これまで何度か使ったことはありましたが、今回のトリップでも、LNTは、こういう環境でアウトドアを楽しむために、磨かれたテクニックなんだなってことを改めて感じました。

日本では、ルールがあったり、携帯用トイレブースなど過剰な施設があるため、LNTのテクニックと判断を必要とする場面も、ないわけではないですが、かなり限定的になってしまいますよね。

ルールから教育へ。ルールではハイカーのリテラシーは上がらないし、誰にも監視されていないアウトドアでは結局ハイカーの倫理次第で、根本的な環境の維持にはなりません。教育によって倫理とLNTテクニックを身につけることで、アウトドアの本来の自由性を取り戻し、いつまで健全な環境を維持したいものです。