みなさん、組織で何か物事を決める時に、どうやって決めますか?やっぱり話し合いで決めることがほとんだと思います。多数決や、折衷案など、どこか落とし所を見つけて、組織の決定にしていると思いますが、このような決め方をオピニオン(意見)ベースと言います。このやり方は、メンバーで決めたので全員納得して決定に従える反面、構成員が異なったり、組織が違うと、同じ問題に対しても結果が異なります。だから、普遍性や、一般性という点では限界があります。
一方、科学的な根拠に基づいて、演繹的に解決策を決定するやり方を、エビデンス(根拠)ベースと言います。このやり方では、極端な話、議論をする必要がないですし、組織や時間が異なっても、普遍的な結論が得られます。ここで問題となるのが、そんなエビデンスがどこにあるの?ということです。それを解決するのがレビューオブリタラチャー、つまり文献検索です。
文献検索の目的は、主に以下のように言われています。
- 問題を定義したり、明らかにできる限界と範囲を決定します。
- 過去からの文脈で問題の位置づけを知ります。
- 不要な追試を避けます。
- 問題解決の方法やそれに用いる器具を知ります。
- 過去のデータと比較したり、まだ明らかにできなかったことを示します。
つまり、みなさんが問題と感じていることは、すでに世界中の人たちが同じことを考え、様々な解決策を示してきました。エビデンスベースの解決策は、データの蓄積により、精度の良い解決策を示していけますが、オピニオンベース単体では、それらを超えることができないのは元より、せっかくの努力が、時間と共に消えていってしまうでしょう。
国内で文献検索をする場合、国立情報学研究所(Nii)が提供する、CiNii(Nii学術情報ナビゲータ)で、どなたでも無料で使うことができます。ただ、こと野外となると、そもそもの文献数少なく、みなさんが必要とする情報が見つからないことがあります。また、全文公開されているものにも限りがあります。
そこでお勧めするのが、アメリカの教育科学研究所が提供する、ERIC(Education Resources Information Center)です。このサイトでは、かなりの文献がダウンロードできたり、オンラインで閲覧可能となっています。うわっ英語、もう無理っと思うかもしれませんが、現在ではAdobeのファイル変換機能や、Googleの翻訳機能を使って、日本語で読むことができます。
まず、Google Chromeで、ERICを開き、問題と関連するキーワードを英語で入力します(文献の効果的な見つけ方はまたどこがでブログしましすね)。そうすると、どばーっと関連する文献がヒットしますので、URLバーの右にある翻訳機能のアイコンをクリックすると、サイトが日本語に翻訳されます。アブストラクト(要約)が日本語でわかるので、これだけでもすごいですよね。
中には全文を無料もしくは有料で公開しているものもありますので、もっと読みたいと思ったらPDFファイルをダウンロードしてください。そのPDFをAdobeのAcrobat Proで開き、ワード形式で保存することによって、PDFの文字データが、テキスト化できます。
次に日本語への翻訳ですが、Google翻訳にコピペしても良いのですが、文章の体裁が乱れちゃうし、ちょっと読みづらいですよね。そこで私がお勧めするのが、Googleドキュメントの翻訳機能です。まず、ワードファイルを、Googleドックにアップし、Googleドキュメントで開きます。この状態だと、まだワードとして認識されているので、Googleドキュメントとして保存してください。その後、「ツール」メニューから、「ドキュメントの翻訳機能」を選択すると、文章や、図表がほとんど乱れずに、翻訳できます。
日本語訳には、まだまだ不自然なところはあるとは言え、昔に比べかなり精度上がってきて、ほとんど理解することができます。専門領域の文献であれば、「あっここの訳がおかしいな」って、自分で修正することもできます。
文献検索は、意思決定がエビデンスベースになるための第一歩です。私たちは、先人たちの英知を活用し、さらに上の社会を作っていくことが、シンク・スマートな姿勢です。
備考:より医学的な情報が必要な場合は、MEDLINEという検索エンジンを日本語で使えるサイトがあります。こちらは、野外指導者向きではありませんが、野外救急に携わる方は、ぜひ参考にしてみてください。
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