幼少研流イグルーの作り方

20/21ウィンターシーズンも間も無く終了です。幼少研ではいつもGWの栗駒バックカントリーが滑り納めとなります。

今年のウィンターシーズンはみなさんいかがだったでしょうか?幼少研では、独自の新型コロナ感染対策をとり、無事につまごいスキーキャンプを終えることができました。

今回は、このキャンプで、参加者全員イグルー泊を目指しましたので、子供でもできるイグルーのテクニックを紹介します。


目次

1)イグルーの基本構造
2)イグルー作りの道具
3)イグルー作りの実際
4)イグルーの撤収


イグルーの基本構造

イグルーは、イヌイットの移動型の住居で、現在でもアザラシ猟の時などに実際に使われているそうです。

カチコチにしまり、切断面が崩れない雪にむいている方法なので、日本の水分を多く含んだ雪ではやや作りにくいと言えます。

イグルーは、スノーソーでスノーブロックを切り出して、ブロックを整形しながら、積んで行きます。

まず、イグルーは完全な球体であることを原則とします。球体による力の分散で、よりしっかりしたイグルーを作ることができます。

次に、積み重ねるブロックは、平面から見ても、側面から見ても、切断面が、全て半球の中心に向かっている必要があります。こうすることで、一度組み上がると、それぞれのブロックが圧迫し合い、決して崩れないドームができます。

さらに、螺旋状に組み上げることにより、最後に積んだブロックのみを押さえておけば、他のブロックは崩れません。逆にそのブロックが崩れると、連鎖的にほとんどのブロックが崩れる可能性があります。

一段ずつ積んでいくと、必ず最初のブロックと最後のブロックを常に押さえておく必要があり、余分な人手が必要となります。


イグルー作りの道具

一般的には、スノーソースノースコップがあればイグルーを作ることができます。スノーソーが手に入りづらい、予算的にきびしい場合は、丸太用のノコギリでも全く問題ありません。スコップも、遠征に持っていかないのであれば、角スコで十分です。

スノーソーで、スノーブロックの側面、奥面に切り込みを入れ、底面にスノースコップを差し込むと簡単にブロックを切り出すことができます。

イグルーを作るときは、あらかじめ台形を互い違いにして、スノーソーで切り込みを入れると、無駄な雪も少なく、ブロックも取り出しやすいです。

イグルー作りで一番難しいのが、ブロックの整形です。今回、子供で簡単にできるように、ストックで半球の中心を決め、そこから細引きを引っ張り、ブロックの切断面の目安としました。

また、日本の雪は水分が多いため、長時間雪を触っていると、手袋がびしょびしょになってしまいます。そのまま、夜を迎えると凍傷の可能性もありますので、幼少研ではいつも、保温機能のあるゴム手袋を持参させています。


イグルー作りの実際

大きさの決定

ストックを細引きを使い、イグルーの大きさを決定します。ベースが完全な円にならないと、ブロックが崩れる原因となります。イグルーの高さの目安は円の半径となります。

ブロックの側面の整形

細引きを目安のブロックの側面のカットします。

螺旋の開始

一段目を組み終えたら、螺旋状になるように、ブロックをカットします。ブロックがもったいですが、できる限りスムーズな螺旋にすることがポイントです。

上面の決定

ブロックの上面の傾きも細引きを目安に整形します。高さをかせぎたいからと言って、最初の数段の上面を水平にすると、後々崩れる原因となります。

押さえる係

上面の傾きがある程度キツくなり始めたら、誰か一人押さえる係になると、安心して整形作業ができます。

押さえるのは最後のブロックのみ

傾きがかなりキツくなっても、最後のブロックのみ押さえていれば、崩れることはありません。

最後は対面のブロックと干渉

もうブロックが入る隙間がなくなったら、台形型に加工したブロックで、コルクの栓をするようなイメージで蓋をしたら完成です。空いた隙間は小さく加工した錐形のブロックで塞ぎます。

最後に玄関を開けて完成

最後に中からでも、外からでも入り口を開けて完成です。入り口が大きすぎると冷気が入ってくるので、扉となる60リットルのザック一つ分くらいが目安です。


イグルービバーク

スリーピングギア

イグルーが完成したら、雪の上にグランドシートを敷き、その上にロールマット、4シーズン用の綿の寝袋で寝ました。シュラフカバーがあった方がいいのですが、幼少研に全員分はありませんでした。ごめんなさい。

おやすみなさい

1辺180cm四方のグランドシートに合わせて直径2.5mのイグルーでしたが、このイグルーには、女子四人、小柄な男子2人の6人泊りました。外気は氷点下ですが、イグルーの中は全く問題なかったようです。


イグルーの撤収

イグルーの解体

せっかく作ったイグルーですが、その場を離れるときは、完全に壊して出発しましょう。次に来るビジターにとって、景観を損ねるだけでなく、踏み抜いたり、中に入って崩落したりするリスクがあります。

スノーブロックをくだく

解体したイグルーのブロックはできる限り、砕きましょう。その上に雪が積もると、その場だけ不整地となってしまったり、不自然な穴を残してしまったりといったリスクとなります。

Leave No Trace

次に来たビジターが、自分達と同じような雪原を楽しめるよう、なるべく元通りにして出発しましょう。