1998年に、初めてWEAに出会い、そこから日本のアウトドアリーダーのプロフェッショナリズムの確立に向けた私の仕事も、2015年のWMTC(野外救急法)のライセンス獲得、2022年のLNTとの国際ブランチ契約で、一段落です。あとは国内での一般化を目指すのみですが、教育機関の変革、行政のシステムなどとも連動するため、これは私が生きているうちには不可能でしょう。私のできたことはやっとタネを撒けたかなぐらいです。
一方で、既存の指導者資格との違いや、昨今ATガイド養成のために、アウトドアスキルのない方が野外救急法を取得されたり、一般の方が、止めることはできないのですが、LNTのインストラクター資格を取られたりと、資格という独立したサービスを作ってしまったが故に、3つの資格の体系を関連付けず、それぞれが一人歩きし始めているように感じます。そこで、この3つの資格の認定団体であるBCだからこそ言える、資格体系の関連性と、アウトドアプロフェッショナルにおける位置付けについて解説します。
アジェンダ
アウトドアリーダシップとは
3つの資格の導入秘話
資格体系とその意味
・アウトドアユーザー
・アウトドアリーダートレーニング
・アウトドアリーダー
・アウトドアエデュケーター
・スーパーバイザイー
アウトドアリーダーシップとは
このブログのタイトルがOutdoor Leader’s Blogだけあり、アウトドアリーダーに関してはこれまで、何度となく記事にしてきました。
・What is Outdoor Leader?
・翻訳サイトで正しく訳してくれないアウトドアパスーツって何?
・日本の野外指導者養成にはここが足りない!
簡単にいうと、原生自然の中で、アウトドアパスーツを用いて、参加者の体験の目的を達成させることのできる指導者と言えます。詳しくは、What is Outdoor Leader?
まず、定義の中でさらに定義が必要な、原生自然ですが、これは話せば長いので、以下のブログを参考にしてください。
一般的にウィルダネストリップの定義としては、1)アイソレイト(人工物からの隔離)、2)トランスファー(動力を用いない移動)、3)オーバーナイト(野営もしくはその備え)、4)セルフレスキュー(自立した初期救助)が挙げられ、これらが必要な場所が原生自然と考えてください。ですので、山頂に祠がある日本の山岳もしっかり原生自然です。
次に、アウトドアパスーツですが、こちらも詳しくは、アウトドアパスーツってなに?を参考にしてもらいのですが、動力を用いずに、手つかずの自然にまで発展する可能性のあるアウトドアアクティビティです。手付かずの自然にという定義により、ゴルフやテニスなどのアウトドアスポーツとは一線を画しているわけです。マーク・ワグスタッフは、アドベンチャープログラムのテクニカルスキルの中で、以下のアクティビティをアウトドアパスーツとしています。
ランドベース
・ハイキング
・ロッククライミング
・ケービング
・マウンテンバイク
ウォーターベース
・シーカヤック
・ホワイトウォーターカヤック
・カヌー
・ラフティング
スノー・アイスベース
・スノーシュー
・マウンテニアリング
・ノルディックスキー
・アイスクライミング
(Mark Wagstaff/Aram Attarian, Technical Skill for Adventure Programing, Human Kinetics)
私から言わせると、アルペンスキー、ボード、テレマークが入っていないのが気に入らないのですが、まあ、それぞれの専門の団体の配慮したのでしょう。そう、つまり、これらは、日本でもそれぞれに専門の指導者団体があるということです。
実際に、WEAとは無縁そうなACAの組織キャンプでも、キャンプ場をベースに、専門のインストラクターの指導により、これらのアウトドアパスーツを提供するキャンプ場がほとんどです。日本の学校キャンプもかつては、ハイキングを行うものが圧倒的に多かったのですので、今では、カレーを作るだけとなり、悲しい限りです。そりゃ専門家は育たない。
最後に、参加者の体験の目的ですが、人は様々な目的でアウトドアに出かけます。以下初出しですが、最近このモデルを、アウトドアプロフェッショナルを説明するときに用いています。
Tourismとは、参加者の余暇の目的を達成するためのガイドです。必要な能力としては、テクニカルスキルやインタープリテーションが必要となり、あまりリーダーシップやティーチング、ファシリテーションは実践されていません(本来なら必要とされるべきですが)。Instructionは、技術指導で、クライミングやスキーのイントラがこれにあたります。クライミングはガイドとイントラが兼任しているケースが多いですが、スキーに関しては、イントラとガイドは別の職域となっています。必要なスキルとしては、実は野営、ナビ、衛生管理などの包括的なテクニカルスキルは必要とせず、アクティビの技術に特化し、ティーチングスキルに重点が置かれるでしょう。最後にエデュケーションは人材育成ですが、本来ならテクニカルスキルがあってのアウトドアラーニングなのですが、国内ではソフトスキルに重きが置かれている傾向があります。WEAの示す6+1は、等しくどの職域にも必要なのですが、それにより強弱があるのが現実です。
3つの資格の導入秘話
WEAと出会った1990年代の私の実践は、1)東北の原生自然において、2)ハイキングや沢歩きといったアウトドアパスーツを通じて、3)青少年の自己成長を支援する、まさにアウトドアリーダーの定義そのものでした。残念ながら当時に、この実践にお墨付きを与える国内の指導者養成機関、公認団体はなく、なんの裏付けもないまま行なっていた、かなりリスクの高い活動だったとふりかえります。そのような理由から、この実践に対して一般性がない、無謀教育など揶揄されたました。そんなときに出会ったのがWEAでした。それが、包括的なアウトドアリーダーのカリキュラムであったからこそ、WMTCとLNTのスピンアウトは必然だったかもしれません。
WEAの導入
WEAとの出会いは、1998年1月に博士課程の学生として初めてアメリカの学会に参加したときでした。冒険教育、キャンプ教育、環境教育の垣根を超えて、アメリカのトップリサーチャーが集まる素晴らしい学会で、当時読みあさっていたアメリカの論文やテキストの著者がずらっとそろい、興奮が止まらなかったことを覚えています。
そんな中、初めてアメリカにわたり、全く英語を話せない日本の学生を一番面倒見てくれたのがWEA元会長のクリスキャッセルでした。彼女が語ってくれた、WEAの哲学や方法論は、当時自分が実践していた野外教育そのもので、それが学問と産業として成立しているシステムに感銘を受けました。その後、赴任先となった奈良教育大学のプロジェクトで、WEAの2週間の指導者養成コースを日本の学生とともに参加したり、彼女を日本に招いてWEAのワークショップを開催したりと、いつしか日本にもWEAを導入することが、二人の夢となりました。ただ、当時の3週間の野外遠征を必要とするカリキュラムは、日本の大学では不可能であり、私の教育実践の中で、カリキュラムを小出しにするのが限界でした。
そんな中、2009年に大きな転機が訪れました。これまで3週間の野外遠征で、18のスキルを習得するカリキュラムから、それらを6つのコンポーネントに整理し、時を同じにしなくともバラバラに習得できる柔軟性のあるカリキュラムに改定されました。これにより、国内の大学にも導入の可能性が大きく高まりました。2012年6月には、野外教育の大学教員、民間などの対象に、クリスキャッセル、マークワグスタッフ、スコットジョーダンら、WEAの伝説的なインストラクターたちの指導により、新カリキュラムを紹介する5日間のWEAワークショップを行いました。ここに集った実行委員会、参加者の有志が、WEAの価値と必要性に共感し、WEAJ設立準備委員会を立ち上げ、2013年にWEAJが設立しました。
その後のWEAの国内普及は、必ずしも思い通りというわけではありませんが、設立当時に養成された指導者たちが、現在の日本の野外教育の中堅をしっかり担っており、これからは彼らの手によって普及していく未来が見えています。
WMTCの導入
WEAの資格を維持するためには、適切な野外救急資格の維持が必須です。それは、日本にWEAをローンチする上で、超えなければならない大きな壁でした。アメリカには、野外救急法のビッグ4というのがあり、SOLO、WMA、WMI、そしてBCがライセンシーであるWMTCです。WEA設立時には、ちょうど同じ時期立ち上がったWMAJがあり、当時は、そのスタッフの一人がWEAJの理事にも入ってくれていたのですが、彼のWMAからの離職や、WMAJのマーケットとの違いなどから、自分が立ち上げたWEAの指導者たちには、しっかりアウトドアリーダーシップに特化した野外救急法を提供したいという思いから、一念発起して、自分が野外救急法のインストラクターを取ることを決意しました。当時アメリカでは、普通の大学野外教員がインストラクターを持っていたり、教育者としてさほど特別なことではありませんでした。まずはWEAの指導者たちから情報収集し、彼らも私の専門性や作業能力を理解していたので、誰もが異口同音で勧めてくれたのがWMTCでした。そして、その門が叩いたのが2015年春でした。
WMTCのイントラまでのスキームは、非常に明確でした。WFR→ITC→アシスタント→リード→ライセンスシー(コースを主催できる)。当時、WMA公認のWFRは持っていたのですが、WMTCのインストラクターになるためには、WMTCのWFRが必要となるため、2015年8末にWFRへのブリッジをシアトル近郊のタコマでとりました。そのままITCの会場となるノースカスケード山中にあるWMTCの本部に移動したのですが、そこからコースが始まるまでの約10日間が、人生で一番仕事をしたのではないかと思う濃密な時間となりました。WMTCはすべての教材をデジタル化し、デジタルテキスト、オンライン学習サイト、オンラインテスト、現在日本でローンチしている教材のほとんどをこの10日間で訳し終えました。AdobeのInDesignをすでに扱えたこと、ウェブのテクニックがすでにあったことが、この作業をやり遂げる前提だったので、このスキルがなかったら、日本でコースをスタートするまでに、あと数年はかかったかもしれません。
ITCでは、レクチャーセッションとプラクティカルのセッションの14日間と、コースの評価として、アメリカの学生を対象にITC受講生がガチのスタンダードWFA3日間をやるというものでした。テクニカルタームは、それまでに教材を訳し終えたので、難なく入りましたが、それよりも、生理学、解剖学、病理学からなぜそのような反応が起こるのか、なぜそのような処置が必要なのか、徹底的にWHYを叩き込まれ、しかもボスは古き良き昭和のドSの指導者なので、エビデンス好きドMな私にはぴったりの環境でした。
コース後、日本でどのように展開するかボスと相談となり、私はしばらくワシントン州通いもやむなしと覚悟していましたが、当時は、アメリカにも数社しかなかったライセンスシーをBCにも与えるというものでした。コース中あれだけダメ出しをされて、最後の最後で評価してくれるという、私の得意な落とし上げのやり口にまんまと涙させられ、2016年3月に記念すべき日本初のWMTCのWFAコースが開催となりました。
LNTの導入
今となれば、やってよかった、やるべきだったとふりかえりますが、LNTのブランチに関しては、当初は全く考えていませんでした。2013年の国内初のWEAコースの時に、LNTは今後必ずWEA指導者の社会的ディフェンスのために必要になると考え、LNTのマスターエデュケーターコース(現在のレベル2インストラクター)を、台湾でNOLSのイントラであるグアンにお願いして開催しました。その後、MEたちの手により、LNTは細々と指導者を増やしましたが、当時はまだアメリカに登録料を払わなければならず、日本語のサービスもほとんどなく、日本人にとって、不透明で、メリットの少ない資格でした。
そんな中、2016年に、LNT_USのビックスポンサーであるKEENの日本ブランチGMの竹田さんから、突然連絡があり、LNTを日本でもっとやっちゃおうぜというお話でした。その後、KEENの社会貢献事業であるKEEN EFFECTというプログラムの助成を受け、全国6箇所で、トレーナーコース(現在のレベル1インストラクター)をほぼ無料で開催し、それまでは年間にWEAコースに参加した数名だったのが、一気に1年で80名近く指導者が増えました。その後、KEENとはUS4IRIOMOTEで、LNT全国キャラバンなどを行うなど、LNTのニーズはますます高まりました。
ところが、まだLNTを統括する組織が国内にないため、日本で養成された指導者は、皆アメリカに登録せざるを得ません。この仕組みによって、この時の指導者の多くは、ドロップアウトとしてしまいました。そんな課題に悩んでいる最中、同じく竹田さんより、今度はブランチ立ち上げちゃおうぜという提案があり、忘れもしない2019年のWEAコース中に、受講生に囲まれる中、LNT_US、KEEN_US、KEEN_J、WEAJの4者で、ブランチ設立に向けてのキックオフミーティングが始まってしまいました。ブランチになるためには$25,000、当時のレートで、270万円、現在だとなんと350万円が必要となり、この段階でそんな財源あるはずもなく、やるって言っちゃったあという現実逃避しかありませんでした。ただ、前提条件となるME12名がそろっていたのは予期しなかったラッキーであり、主催したWEAJとそこに参加してくれた指導者たちの貢献を忘れるわけには行きません。
その後、コロナ直前の2020年2月にWEAカンファレンスに参加した際に、コロラド州ボルダーにあるLNT本部を訪れ、350万円のビジネスプランのハッタリをかますなどし、正式にブランチを目指すための調印が交わされ、そこから私の理事組閣のための全国行脚が始まり(コロナで仕事がなかったからこそできた)、2021年春にはLNTのためにオフィス移転、2021年9月にNPO法人設立、2022年6月に国際ブランチ調印、2023年にMitt+登録650名、初期登録料完済と、LNTづくめの3年間でした。
最初に戻りますが、LNTJを半ば勢いで立ち上げて本当に良かったなと思うことは、昨今のATガイドの動向にギリギリ間に合ったことです。ATの元締めであるATTAが定めるATガイドのガイドラインには5つのコンピテンスがあり、その一つ目がサステイナブルとありつつも、中身がLNTとなってます。その結果、全国のATガイド育成には、LNTが必須となります。もしLNTが立ち上がっていなかったら、国内のガイドたちは引き続きアメリカに会費を上納することなり、もしくは、よくわからないLNTが出回ったりと、国内のLNTがカオス状態になっていただろうなと想像します。そう考えるいつも竹田さんの直感には、先見の明を感じずには入られません。
資格体系とその意味
WEAの資格体系
Certified Outdoor Leader(COL)をアウトドアリーダーの業界基準に位置付け、そのトレーニング過程にOutdoor Leader Training Course(OLTC)、WEA6+1の体験レベルにOutdoor Leader Experience(OLE)の修了証を位置付けた。上位資格としては、コースの指導者としてCertified Outdoor Educator(COE)、コースの公認審査員としてCertifying Examiner(CE)を位置付けた。
メディカル資格の体系
メディカル資格に上位という概念はない。都市から通信手段のない野外状況まで、連続性で考える。都市救急のプロトコルを用いる職域では、Medic First Aid(MFA)、通信手段のある野外状況では、Wilderness First Aid(WFA)、通信手段のない野外状況ではWilderness First Responder(WFR)のプロトコルを活用すべきである。これらのコースの指導者としてInstructor、インストラクターを養成するコースとしてITCが位置付けられている。
LNTの資格体系
LNTは2022年に資格体系を改定した。LNT体験であるWorkshopを指導できる最前線のアウトドアリーダーとしてLevel1、Level1を含め全てのコースを提供できるLevel2、Level2を養成できるLevel3というヒエラルキーをプロフェッショナルパスと位置付けた。一方で、LNTを30分以上体験したWorkshop、LNTを2日間で包括的に学ぶスキルコースをレクリエーショナルパスとした。
アウトドアユーザー
アウトドアユーザーにとっても自立したアウトドア活動を目指すべきであるが、講習や資格維持に費用が発生することは現実的に受け入れがたい。WEAでは参加費無料(もちろん実費はかかるが)で、1年間のWEAJのメンバーシップが付いているOLEを体験してもらえると、野外遠征の魅力を少しでも感じてもらえるはずである。またLNTでも30分から1日のワークショップでLNTを体験してもらうことを、ユーザーへの普及のスキームと考えた。一方で、野外救急に関しては、多くの団体がレクリエーショナルユーザーに対しても受講を進めており、その理屈はわからないでもないが、一般ユーザーに救助の法的義務が発生しないため、法的擁護のための資格を義務化することはできないだろう。
アウトドアリーダートレーニング
アウトドアリーダーを目指してトレーニングを受けている段階である。野外専攻学生、ボランティア、業界に新規参入した見習生などがこれに当たる。体系的な指導を受けるので対価が発生するのは当然と考える。WEAでは、6+1を体系的に学習し、COL受験の準備をするOLTCを提供している。LNTでは、この段階からLeve1か迷うところではあるが、まだプロフェッショナル前ということであえて、指導スキルを担保しないSkill Courseを位置付けた。この資格は新カリからの教育体系であるが、今後どのように展開するかまだまだ検討が必要といえよう。最後に、野外救急資格に関しては、WEAのカリキュラムでファイナル遠征があることなどから、プロフェッショナル前といえども、野外状況に応じたWFA/WFRが必要となろう。
アウトドアリーダー
この段階から、社会からプロフェッショナルと認識される段階である。上述した、アウトドアガイド、インストラクター、教育者などが身に付けたい職能である。また、野外専攻のある大学・大学院であれば、卒業前に実装させておくべきレベルであろう。WEAでは6+1を全て実践できるレベルをCOLとしている。LNTでは指導スキルの裏付けがあるLevel1が適正であろう。野外救急に関しては、万が一の時の救助にのみ技能を使うので、活動するフィールドに合わせてWFA/WFRが必要で十分である。LNT、WFA/WFR資格は、それ単体ではフィールドでほぼ実用できず、6+1で担保されるアウトドアスキルがあって初めて運用可能となる。
アウトドアエデュケーター
各資格体系の中で、アウトドアリーダーの業界基準となる資格を認定できる職能であり、健全な業界を維持する上で極めて重要な立場である。野外専攻の学校教員、大学教員、指導者養成団体のインストラクター、民間団体でボランティアの育成を行うディレクターなどがこれに当たる。このレベルの指導者が、業界基準を満たしていないアウトドアリーダーを輩出し続けるかぎり業界の未来はない。WEAでは、基準として100日以上の野外遠征指導経験を持つ指導者に、WEAコースへのアプレンティストと、20時間のクリニックといった2つのパスをCOEになるために準備している。LNTでは、2泊3日の遠征を含む5日間のコースでLevel2を取得できる。野外救急に関しては団体それぞれであるが、WMTCでは、WFAのアプレンティス経験+レクチャーセッション6日+プラクティカルセッション6日で、アシスタントインストラクターになれる。この段階の特徴として、LNTと野外救急に関しては、下位資格から積み上げでは取得できない。LNTには2泊3日の野外遠征スキルが求められ、Level1とSkill Courseは、野営によるコースを推奨しているため、それらの指導、運営技能が必須である。また、野外救急法も、シミュレーショントレーニングの開発において、各種アウトドアパスーツの経験が必要となる。つまりWEA6+1もしくはそれに準ずるアウトドアエデュケーター資格がないと、LNTとLevel2、野外救急のインストラクターとして、十分な職能は果たせない。
スーパーバイザー
このレベルを目指すものは、対カスタマーというよりは、その団体、業界の管理統制を目指すものであろう。WEAのCEは、5年間のWEAコースの指導、運営を経た後に、アプライできる。公認団体になるために必要な資格であり、COEを育成できるようになる。その他にコース認定の責任を負うなど、健全なコース維持に重大な責任を持つ。次に野外救急は、現在のWMTCでは、私以外にITCをできるものは国内にいない。私もいずれいなくなるので、その時に誰が国内のWMTCをコントロールするのか、後10年以内に本部との協議が必要となろう。最後にLNTでは、日本が国際ブランチになる最大のメリットでもあり、条件であるのが自立してLevel2コースができることである。そのため、ブランチ契約の一環として、2023年3月に本部の指導のもとLevel3コースを開催し、12名のLevel3インストラクターが誕生した。このコースは、この先数十年は開催予定はない。つまりこの12名が国内のLNTのメンターとなる神12である。いずれにせよ、業界のキモとなるアウトドアエデュケーターを育成する立場であるので、各資格体系の積み上げだけではなく、包括的な野外指導力と業界への精通が求められる。
まとめ
職能資格は、技術資格のような積み上げとはちょっと違います。社会的役割を果たすための職能の保証です。その役割を果たすためには、やはり組織に属しているのであれば、その組織の中のその役割につかないとできませんし、事業者であれば、その社会的役割を果たすためのビジネス展開が必要でしょう。野外指導を目指す学生、新規参入業者が、自らの社会的役割を目指し、その職能を身につけるために、明るい道を示せる、そんな資格でありたいですね。
ご興味のある方はぜひ無料のメルマガにご登録ください。
野外指導者必須スキルについて詳しく知りたい方は、アウトドアリーダー・デジタルハンドブックを参考にしてください。
本格的に野外指導を勉強し、指導者を目指したい方は、Wilderness Education Association Japanのサイトをご覧ください。