カナダの野外指導者養成

2024年3月に行われる、アドベンチャーファシリテーションワークショップの打ち合わせで、サイモン・プリーストの住むバンクーバーアイランドを訪れています。その際に、カナダの野外指導者養成で長年の伝統があり、カナディアンだったら誰でも知っているCanadian Outdoor Leadership Training(COLT)と、そのベースキャンプとなるストラスコナパークロッジ&アウトドアエデュケーションセンター(SPL)を訪問しました。

目次

・ロケーション
・スクール
・カリキュラム

ロケーション

バンクーバーアイランドは、バンクーバー沖に位置するちょうど九州ぐらいの大きさの島です。人口約80万人(九州は1200万人)で、島の東岸を南北に走るハイウェイ沿いに街が点在し、それ以外はほぼウィルダネスエリア。島の南にはBCの州都ビクトリアがありますが、BC州最大の都市であり玄関口となるバンクーバーからは、島第2の都市ナナイモにわたることになります。

ストラスコナ州立公園は、バンクーバーアイランドのほぼ中央に位置し、2000m級の山が点在する高原です。公園の中心部には、氷河があるなど、2000mとは思えない環境が広がります。また、西に50kmも走れば、 太平洋まで約40km続くフィヨルドがあり、シーカヤッカーにもよだれが出る環境です。

COLTを提供するSLPは、公園に深く切れ込むアッパーキャンベル湖の湖畔にあり、ハイキングでも、カヤックでも公園にアプローチ可能なロケーションです。ナナイモからは北にハイウェイを150km、キャンベルリバーから山道に入り40kmとなり、程よいアイソレイト感です。

スクール

ストラスコナパークロッジ&アウトドアエデュケーションセンター(SPL)は、ホテル、 主催型のサマーキャンプ、団体キャンプの受け入れ、企業研修、チャレンジコース、トリップガイド、野外指導者養成など、まさにてんこ盛りの施設です(ホテル業を除けばBCもいけるぞ)。青少年向けのキャビンから、大人向けのラグジュアリなキャビンまで、ダイニングホールからキッチン付きのキャビンまで、さまざまな対象に合わせてデザインされています。

目の前が氷河湖だけあって、カナディアンカヌーの艇数は圧倒的でしたが、それ以外にもアウトドアパスーツに関する装備はほぼほぼそろっています。それ以外にもクライミングウォール、チャレンジコース、研修室、湖畔のサウナなど、できないアクティビティはほぼないと入っても過言ではないほどです。

歴史は古く、1959年に、ボールディング夫妻によって始められました。彼らは現在日本からの留学生も多い、ブリティッシュコロンビア大学ティーチャースクール出身で、一旦下の街のキャンベルリバーの高校教員になったそうですが、野外教育の夢を追い、スクールを開始したそうです。特に野外指導者としてのキャリアもない、たった2人の夢が、これだけの歴史と伝統を作るなんてすごいですね。なんか身近にそういう人いたような。

カリキュラム

Canadian Outdoor Leadership Training(COLT)は、SPLをベースとして、カナダ人の野外指導者を育成するために、1977年に始まりました。アメリカが、OB(1962)→NOLS(1965)→WEA(1977)と動いていいる中、ヨーロッパのガイド養成システムの影響を受けデザインされているため、テクニカルスキルが中心のカリキュラムとなっています。一方で、今日では、ミニマムインパクト、リーダーシップ、アメリカ由来の環境教育プログラムなども含まれており、ヨーロッパとアメリカのいいとこどりといった感じです。

カリキュラムは大きくランドベースとウォーターベースに分かれており、以下のようなカリキュラムです。

また、これらのカリキュラムの中に以下のようなサブコンテンツがグラスホッパーされています。

・ウィルダネスセルフリライアンス(野外での自立)
・ミニマムインパクト(レイク&リバー/コースト&オーシャン/山岳&バックカントリー/野生動物)
・リーダーシップ

これらのカリキュラムを100日で消化し、各種ガイド資格、野外救急法(スリップストリーム)、無線資格などを取得します。リーダーシップ、ミニマムインパクトなどの能力の裏付けとなるアメリカ型のNOLS、LNTなどの資格は含まれていませんでした。おそらくそれらよりも先に実践していたためと、ヨーロッパのシステムがベースなので、あえて乗っかる必要はなかったのかと推測します。

年間2回のコースがあり、2024年は以下の2コースです。WEAはあくまでコアスキルですので、さらなるアクティビティスキルを備えたい方は、ぜひチャレンジしてはいかがでしょうか?ラッキーなことにCOLTのディレクターのセバスチャン・タシロは、ドイツ人と日本人のハーフなので、英語が苦手な日本人でもめちゃくちゃ優しくしてくれます。

スプリングセメスター(4月20日-7月28日)

フォールセメスター(8月3日-11月10日)

まとめ

以前BCでもWEA_COE、LNT_L2、WMTC_WFR、ビジネススキル、リサーチスキル、リーダーシップスキルをガッシャンコした、クラス15日+フィールド25日のProfessional Outdoor Leadership School(POLS)というのをローンチしましたが、全く売れず。。。。いつもやることが早すぎる。。。。でもそんなことを思い出させてもらえた訪問でした。現在LNTのおかげで、JMGAやJSPAのみなさんとも、より親密に連携できているし、WEA、LNT、WMTC+SAJを内製化できているので、なんかさらにいいコースができそうな予感。これだけのリソースが日本にそろっていて、受け皿となる自然もバッチリなので、あとは市場が追いつけば、 来たるべきXデイにワクワクしますね。

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