みなさん、アウトドアに出かけるときにいつも何を持っていきますか?アウトドア の装備は、活動、環境、目的に応じて、適切にリストアップされるべきですが、すべての活動に共通し、たとえ日帰りのトリップでも、準備すべき10の必携装備があります。アメリカでは10エッセンシャルと言って、山のスタンダードになっていますので、紹介します。
- ナビゲーション
- ライト
- サンプロテクション
- ファーストエイド
- ナイフ
- スターター(ライター、マッチ)
- シェルター
- 食料
- 水
- レインウェア
1.ナビゲーション
地図
地図には、観光用のイラスト地図、登山用のハイキングマップ、鳥瞰図などがありますが、国土交通省国土地理院の発行する1/25000地形図が基本です。現在では、電子地形図により、好きなエリアを選択して購入することができます。
コンパス
磁針、リング、磁北矢印、進行矢印から構成されています。丸型のコンパスや、携帯電話にもコンパスのアプリがありますが、地形図と合わせてコンパスを使うためには、世界で圧倒的なシェアを誇る、シルバコンパス(SILVA社製)がオススメです。
GPS
地図の代わりとして、利用することが可能ですが、地形の全体像を把握したり、読図のスキルを上げるには不適切です。一方で、ホワイトアウトした時や、日本ではなかなかありませんが、目的物がない、砂漠や雪原のトリップでは、欠くことができません。地図のバックアップに携帯することをオススメします。現在では、携帯電話のGPS機能を利用したアプリも発売されています。
ライト
オーバーナイトトリップでは、もちろん持っていくと思いますが、日帰りのトリップでも必ず持っていきましょう。アウトドアでは、トラブルが起こると、目的地に到着する前に、日が暮れてしまうこともあります。また、遭難時の夜間の目印にもなります。
ヘッドライト
登山では、両手の空くヘッドライトを断然オススメします。LED電球の開発により、コンパクトで明るいヘッドライトがたくさん流通するようになりました。私は、故障や電池交換に備え、必ず2つ持っていくようにしています。最近のヘッドライトには赤灯機能や点滅機能があり、SOS信号になります。
ハンディライト
山行中はあまりオススメできませんが、明るく、遠くまで光が届くハンディライトは、捜索時にはとても役に立ちます。夜に明かりを固定する時は、頭に圧迫感のあるヘッドライトより、ハンディライトとの方が手軽ですね。小物入れに一つあってもいい道具ですね。
サンプロテクション
日焼け止め
肌の色が茶色い日本人、特に男性にとって、日焼け止めは、あまりピンとこないかもしれません。日焼けは、体の冷却機能を奪い、熱中症のリスクを高める重大な問題です。日焼けが男らしさのシンボルはもう昔の話です。
サングラス
こちらも、虹彩の黒い日本人は、あまりサングラスをする習慣がありませんが、紫外線により、角膜が炎症を起こすことも忘れてはいけません。また、ブッシュや吹雪の時に目を守る役割があります。人は視覚からほとんどの情報を得ているため、視覚に問題があると、行動不能になってしまいます。
ファーストエイド
ファーストエイドに何を持っていきけば良いか質問される時がありますが、これを持っていきば十分だというリストはありません。活動、対象者の健康状態、環境でリストは変わりますし、クライミングではギリギリまでコンパクトにしますが、ラフティングでは、大きな防水ケースで持っていくことも可能です。
これでは十分というわけではありませんが、一次救命処置(ベイシックライフサポート)で必要な装備は以下の通りです。少なくともこれらは必ずリストに加えましょう。
- マスク(人工呼吸用)
- メディカルグローブ(自己防衛用)
- シリンジ(吐瀉物吸引用)
- メディカルシザース(衣類切断用)
- 伸縮バンテージ(止血用)
- ナプキン(止血用)
より詳しく知りたい方は、WMTCのファーストエイドキットを参考にしてください。
ナイフ
フォールディングナイフ
10エッセンシャルの中で一つだけ持っていくとすればという質問に対して、多くの冒険家の答えはナイフです。動物にあって、唯一人間にないもが、鋭い爪や牙で、その代わりをするのがナイフです。ナイフは、自然物から道具を作ったり、食料を加工したり、レスキュー時にロープを切ったりと、アウトドアに欠くことができません。長年の私の相棒は、BACK社のフォールディングハンターです。
万能ナイフ
いろいろな機能の付いている万能ナイフもオススメです。万能ナイフといえば、ビクトリノックスでしょう。ただし、ナイフ単体と考えると、力が入れずらかったり、切れ味も(研ぎ方次第でしょけど)、単体のナイフには劣ります。私は以下の万能ツールを持っていくので、万能ナイフは持っていきません。
万能ツール
こちらは、ナイフの機能というよりも、装備のリペアキットとして持っていきます。多くのツールの中でも、私が万能ツールを持っていく最大の理由は、ペンチ機能です。これも、なかなか他で代用できない機能です。固いポールを外したり、登山靴のソールを縫ったりするときに使います。
スターター
スターターとは、火をつける道具のことです。焚き火をしたり、ストーブのスターターが壊れたときに、使います。
ライター・マッチ
一番シンプルなのがライターですが、ライターには、故障したり、風に弱かったり、燃料が無くなったりと、いくつかの弱みもあります。焚き火の点火には、肢あるマッチが使いやすいですが、こちらも湿気に弱いという難点もあります。これらの弱みを克服した風に強いライターや、濡れに強いマッチなどもありますので調べてみてください。私は、小物入れに、普通の100円ライターを2、3こ入れいています。
ファイヤースターター
ファイヤースターターとは、いわば火打ち石のような原理の道具です。最近のアウトドアブームで、ファッションとして、いろいろなファイヤースターターが流通するようになりました。この道具の強みは、半永久的に使える、環境に左右されない、濡れを問題としないところです。乾燥した良い火口があれば、点火できそうですが、私がいつも活動している湿気の多い森では、ちょっと火をつける自信がありません。究極のLNTなスターターですので、うまく使えるようになりたい道具の一つです。
シェルター
ツェルト
ツェルトとは、緊急用小型三角テントで、テントにもなるし、中に人が入ってかぶることもできます。オーバーナイトでテントを持ってくときには、置いていきますが、日帰り、ソロの時は必ず持っていきます。もう30年ぐらいヘリテイジのツェルトを使っていますが、いまだに生地も劣化しません。本当にやばいときに使用するものなので、なんちゃってツェルトではなく、しっかりしたいいものを準備したいですね。
エマージェンシーシート
エマージェンシーシートは、ポリのフィルムにアルミニウム を蒸着しているものが多く、防風、防水昨日があり、熱反射による保温効果もあります。いつもツェルトを持っていくので、あまり持っていくことはありませんが、一度雪山で遭難して雪洞でビバークしたときに、偶然ファーストエイドにこれが入っていて、快適に遭難することができました。低体温パッケージでも、濡れた傷病者をまずエマージェンシーシートで包み、シュラフに行けると効果絶大です。万が一に備え、いつも持っていくようにしたい道具ですね。
食料
トレイルフード
トレイルフードは、休憩中に手軽にエネルギーと栄養を補給できる行動食です。緊急時の非常食とすこともあるので、水分含有量が少なく、腐りにくい食材を選びましょう。私のトレイルフードのレシピは以下の通りです。
- グラノーラ(炭水化物)
- ナッツ(塩分、脂質、タンパク質)
- コーティングされたチョコ(単糖)
- ドライフルーツ(ビタミン、ミネラル)
これ以外にも、甘納豆(炭水化物、単糖)、カルパス(タンパク質、脂質)、コーティングされたグミ(単糖、タンパク質(ゼラチン))、干し梅(塩分、ミネラル)なども、オススメです。
水
ナルゲンボトル
水筒にはいろいろなタイプがありますが、やはりナルゲンボトルが、基本でしょう。私はいつも、色違いの1リットルのボトルを2本もし、飲料用と、ポピドンでの浄化中が分かるように分けて使っています。ナルゲンボトルは、沸騰したお湯を入れることも可能で、低体温の処置の湯たんぽがわりに使えます。また、水の入ったボトルにヘッドライトを当てると、光が屈折して、辺りをぼんやり照らすことも可能です。それ以外にも山でそば打ちの綿棒がわりに使ったこともありますよ。
ウォーターバック
大量の水を運ぶのにとても便利です。不要な時は折りたたみコンパクトになります。水場がないテントサイトなど、到着前の最後の水場で水を確保したりします。ただ、歩行中にチューブでの飲むのは、私はあまりやりません。ずぼらな私は、チューブや、飲み口の衛生管理に自信がありません。また、長期の遠征でも、これらの衛生管理はとても難しいでしょう。日帰りのトレランなどにはいいかもしれませんね。
レインウェア
セパレートタイプ(ゴアテックス)
雨の場合はもちろん、防風、防寒、防塵など、アウトドア必須のシェルレイヤーです。これらの機能と相反する透湿性を兼ね備えたのがゴアテックスという生地です。今では、レインウェアの生地の代名詞のようになっていますね。こちらの道具も最後の最後で命を守る道具ですので、しっかりした良いものを選びたいですね。
ポンチョ
四角形の布の真ん中の穴から頭を出すポンチョは、レインウェアとしても利用可能です。ザックごと中に入れることができ、密着感もなく快適です。一方で、足元が濡れたり、強風時には全く役に立たず、むしろ風を受けて飛ばされそうになったり、ポンチョの裾が足にひっかり歩き難かったり、登山にはオススメできません。リスクの少ない低山ハイクや、サイクリングなどには、、向いているかもしれませんね。
あなたの装備リストを
以上の10の装備は、あくまでも必携装備の目安で、活動、環境によって、他にも必要な装備はあります。10の装備を持ったから、安心してしますのは、大きなミスのはじまりになります。大切なことは、みなさんがいつも自分自身の装備リストをもち、いかなる状況においても、それらの装備を駆使して対応できるトレーニングを積むことです。
環境に優しく、安全で楽しいアウトドアは、適切な装備から。
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