現在地球規模で海洋プラスチックゴミが問題となっていますよね。私もWEAJを通じて、西表の自然を守るUS4 IRIOMOTEの活動に参加しているのですが、西表の海岸を埋め尽くすプラスチックゴミにほんとにショックを受けています。ほとんどが大陸からなのですが、私たちも大量のプラスチックを使っているので、どこかの国には日本のゴミが流れついているのでしょうね。2019年12月にニュージーランドに行ったのですが、スーパーでレジ袋(プラスチックバック)を求めたら、「はっ?あなた何入ってるの?」って感じでした。他の店もほぼ100%紙袋の包装で(パルプによる森林破壊も確かにありますが)、意識の違いを痛感しました。あっ余談ですが、ニュージーランドのガイドは、LNTと野外救急法の普及率は100%とのこと。がんばれ日本!
さて、今回は、LNTのとても有名のワークショップの一つです。自然には、ゴミを分解する力があります。LNTではこの分解の最大化を原則としますが、ゴミには素材によって、分解方法や、分解速度が全く違います。このワークショップは、ゴミがいかに長い間分解されずに残っているのかを理解することを通じ、ゴミをできる限り持ち込まないだけではなく、できる限り分解の早い、自然に優しい素材を選択するなどの概念を理解することができます。
このワークショップに関するLNTのサイトはこちら。
また、”timeline” & “trash”検索でたくさん情報が出てきますよ。例えばこんな感じの。
(引用:US Bureau of Land Management)
- まず様々な素材のゴミを準備します。例えば、ミカンの皮、紙、タバコの吸い殻、布、ビニール袋、鉄製の缶、アルミ製の缶、テグス、発砲スチロールトレイ、ビンなど。野外に持っていきそうなものがいいでしょう。
- もし、参加者にゴミを拾ってきてもらう場合は、3.のステップに行く前に、ゴミの仲間分けをしましょう。
- 次に、ある程度の長さのロープに(スペースによりますが)、1日、1週間、1ヶ月、1年、10年、100年、1000年、10000年・・・などと目印を作り、参加者にゴミが分解されて自然に戻るまでにかかる長さのところにゴミを置いてもらいます。複数のグループでやると比較ができて面白いかもしれませんね。
- 全てのゴミを置き終わったら、なぜそこに置いたか尋ねたり、複数のグループで比較しながら、結果を共有します。
- その後、指導者が、なんらかの根拠資料を元に(例えば上の資料とか)、それぞれの素材が分解されるまでにどのくらいかかるか、答えを言いながら、参加者の答えと比較していきます。分解速度は、環境や分解方法によっても全く異なることを補足しておきましょう。
- ちなみに、バクテリアや菌によって分解される生分解、錆びてしまうような酸化分解、風や水で風化する物理的分解などがあります。これらの分解方法は、環境によっても有意性が全く異なります。ちょこっと付け加えると指導者らしいかな?
以前、私が主催する子供キャンプでは、日帰りハイキングをしながらゴミ拾いをして、その後このアクティビティをしました。自然の家の敷地内でしたので、職員の方とも、そんなゴミはないでしょうって話をしていたのですが、キャンパーが気合を入れすぎて、えげつのない量のゴミを集めてきてしまいました。おかげで、人間の出すゴミの問題について、本当に学びの深いプログラムになったのですが、その後のゴミをこちらのキャンプ場では手に負えず、自然の家にゴミ回収車を出してもらうのなど、ほんとご迷惑をおかけしました。でも敷地内はとてもキレイになりました。
このアクティビティは、LNT1事前の計画と準備としても、LNT3ゴミの適切な処理としても活用できます。ゴミをあえて捨てる人はいません。でも意図せずに落としてしまうこともあります。そんな時、私たちは、落とすリスクを最小限にし、分解を最大化するためにはどうした良いか考えましょう。
ご興味のある方はぜひ無料のメルマガにご登録ください。
Leave No traceについて詳しく知りたい方は、アウトドアリーダー・デジタルハンドブックを参考にしてください。
本格的にLeave No Traceを勉強し、指導者を目指したい方は、Leave No Trace Japanのサイトをご覧ください。
backcountry classroom Incが提供するオンラインサロン「Be Outdoor Professional」では、みなさんの野外の実践、指導者養成、研究に関するお悩みを解決します。また、日本全国の野外指導者と情報を共有し、プロフェッショナルなネットワークづくりをお手伝いします。1ヶ月間お試し無料ですので、ぜひサイトを訪ねて見てください。