衛生管理

1.衛生管理の重要性
1)感染症の予防、伝染の防止
2)遠征における持続可能な野外生活
3)エクスペディションビヘイビア
4)指導者としてのロールモデル

2.病原体

2.1.ウィルス
1)特性:
・細胞を持たない生物(非生物)
・遺伝子情報
・感染した宿主の恒常性を破壊
・0.1µm
2)例:
・インフルエンザ
・ノロウィルス
・肝炎ウィルス
・HIV
3)予防:
・殺菌
・感染経路
4)処置:抗生物質は効果なし
・宿主に長く潜伏

2.2.細菌
1)特性:
・単細胞からなる原核生物
・増殖
・0.5-5µm
2)例:
・ブドウ球菌
・破傷風菌
・サルモネラ菌
・大腸菌O157
3)予防:
・食べ物の衛生
・創の衛生
・水の浄化
4)処置:
・抗生物質

2.3.真菌
1)特性:
・真核生物
・皮膚感染
・1-10µm
2)例:
・カンジダ菌
・白癬菌
・歯周病菌
3)予防:
・接触感染
・皮膚の清潔、乾燥
・歯磨き
4)処置:
・抗真菌薬
・一般的に治療が長期化

2.4.寄生虫
1)特性:
・単細胞動物
・消化性感染
・10-100µm
2)例:
・ジアルジア
・クリプトスポリジウム
3)予防:
・経口感染
・水の洗浄
・排便後の手洗い
4)処置:
・抗生物質

2.5.昆虫
1)特性:
・病原体を媒介
2)例:
・カ、コバエ、ダニ、ツツガムシ、シラミ、ノミ、サシガメ
3)予防:
・服装
・虫除け
・服の洗浄
4)処置
・媒介した病原体に基づく

2.6.動物
1)特性:
・病原体を媒介
2)例:
・ネズミ、コウモリ、キツネ
3)予防:
・野生動物との不用意な接触を避ける
・水の浄化
4)処置
・媒介した病原体に基づく
・咬創をハイリスクの創として処置

3.感染の予防

3.1.感染の3要素
1)感染者
2)感染経路
・接触感染
・飛沫感染
・空気感染
・媒介物感染
3)病原体
・ウィルス
・細菌
・真菌
・寄生虫

3.2.感染の予防
1)手洗い
・調理
・食事
・排便
2)くしゃみを人に向けない
・手でふさがない
・肘でふさぐ
3)食べ物、飲みものをシェアしない
・水筒
・行動食
・食事
・個人のカップに取り分ける
4)口に入れるもの、肌に触れるものをシェアしない
・食器
・カトラリー
・歯ブラシ
・カミソリ
・タオル/バンダナ
・クシ
5)水の浄化
6)食料の加熱調理
7)食器の殺菌、乾燥
・煮沸消毒
・ティッシュ不可
7)食料の保管
・ビニールの密閉
・ビニールで小分け
8)行動食を手で食べない
9)創の消毒
10)メンバーに感染の疑いがあったらキッチンサイトに入れない
・必要に応じてテントを隔離
・看病する人を限定

4.水の浄化

4.1.浄化の目的
1)病原体
2)不純物
3)見た目

4.2.浄化方法
1)分離
・沈殿:物理的
・凝固:アルミニウム硫酸塩
・濾過:セラミック
2)浄化
・煮沸
・紫外線:ステリペン
・ハロゲン:塩素、ヨウ素

4.3.病原体の浄化方法
1)ウィルス
可:煮沸、ハロゲン
不可:濾過
2)細菌
可:煮沸、ハロゲン、濾過
3)寄生虫
可:煮沸、濾過、(ハロゲン)
不可:クリプトスポリジウムはハロゲンでは不可

5.体・衣類の洗浄

5.1.体・衣類の洗浄の目的
1)疾病予防
2)精神衛生
3)メンバーへの影響(匂い、見た目)
4)衣類の機能の維持(吸水性、通気性)

5.2.環境への配慮
1)水源から60m離れた場所で行う
2)体の洗浄は人目につかない場所で行う
3)水源で行わない
・富栄養化による物理的インパクト
・泡などの景観的インパクト
・水源への異物混入による法的問題

5.3.体の洗浄方法
1)2リットルもしくはそれ以上の水、またはぬるま湯
2)水で体を濡らす
3)無添加洗剤で洗う
4)水で体を流す
5)可能であれば2人組
6)水源の中で体を洗わない

5.4.衣類の洗浄方法
1)鍋に水、またはぬるま湯
2)鍋の中で無添加洗剤で洗う
3)できるかぎり衣類の泡をとる
4)鍋に新しい水を入れて、衣類をすすぐ
5)衣類をできるかぎり脱水する。
6)乾燥する