1.環境教育
1.1.環境教育の目的
1)環境に対する気付き、知識、態度、技能、評価能力、参加(ベオグラード憲章,1975)
2)環境に対する責任ある行動
3)持続可能な開発(国連地球サミット, 1992)
1.2.北米の環境教育の歴史
1)保存運動(19世紀後半)
・アメリカの開拓による自然破壊
・自然保護団体の誕生
・シエラ・クラブ(1982)
・オーデュボン協会(1986)
2)自然学習運動(19世紀後半)
・自然の直接観察を重視する
・リバティ・ハイド・ベイリー「自然学習思想(1903)」
・野外教育の体系化に影響
3)保全運動(20世紀前半)
・林野庁、土壌保全庁、魚類・野生動物庁設置
・野外教育が自然学習から保全思想へ
・保全運動との対立
4)自然保護運動(1960年年代)
・深刻な環境汚染、人口問題、資源の限界
・レイチェル・カールソン「沈黙の春(1962)」「センスオブワンダー(1965)」
・スティーブン・バン・メーター地球教育「宇宙船地球号」(1960年代)
5)環境教育
・環境教育の黄金時代
・アース・デイ(1970)
・環境教育法(1970)
・北アメリカ環境教育学会(1971)
・ベオグラード会議(1975)
・環境教育パッケージドプログラム
・野外教育が環境教育に傾倒
1.3.日本の環境教育の歴史
1)自然教育(20世紀前半)
・アメリカの自然学習運動の影響
・国強兵・殖産興業への反省
2)自然保護運動(1950年代)
・尾瀬保存規成同盟(1949)
・日本自然保護協会(1951)
3)公害教育(1950年代)
・4大公害病(50年代)
・公害教育が社会科に(1968)
4)野外活動ムーブメント
・スポーツ振興法(1961)
・野外活動が体育・スポーツに
5)環境教育(1980年代後半)
・清里環境教育フォーラム(1987)
・日本環境教育フォーラム(1992)
・環境教育推進法(2004)
2.環境教育プログラム
2.1.Project Learning Tree(1970年代半)
・西部環境教育局
・森林/植物に関する気づきと知識
・国際理解教育センター(ERIC)
2.2.Project Wild(1983)
・魚類・野生動物管理局
・野生動物に関する気づきと知識
・公園財団
2.3.Project Wet(1983)
・ノースダコタ州水委員会
・水資源/水生生物に関する気づきと知識
・河川財団
2.4.ネイチャーゲーム(1979)
・ジョセフコーネル
・5感を使った自然認識
・日本シェアリングネイチャー協会
2.5.OBIS(1972)
・カリフォルニア大学バークレー校
・野生生物と環境の相互関係を調査
・科学教育研究会
3.環境倫理
3.1. 倫理とは
1)ルール:法規、規則
2)マナー:行儀、習慣
3)モラル:倫理、道徳
3.2.環境倫理
1)人間中心主義(Anthropocentrism):生態系は人間が責任を持って管理する。例:ハンティングは環境のバランスを保つために必要だ
2)神中心主義(Theocentrism):神を生物の存在の中心とする。シカは神様からのいただきもの
3)感覚中心主義(Sentientism):すべての感情的な事象に対して道徳的な配慮を与える。例:ハンティングはシカがかわいそう
4)生命中心主義(Biocentrism):人間とその他の生物は生態系の中でお互いに有機的な関係。例:ハンティングは生きるために仕方がない
5)生態系中心主義(Ecocentrism): 人間とその他の生物は生態系の中で平等であり、環境のバランスは自然に保たれる。例:シカの頭数が増えても自然に淘汰される
3.3.野外倫理(Matthews & Riley, 1995)
1)環境に対する倫理
2)活動に対する倫理
3)他のビジターに対する倫理
4)自分自身に対する倫理
3.4. 土地倫理(Aldo Leopold, 1966)
1)野外指導者としての倫理
2)コミュニティーの一員としての倫理
3)国家の国民としての倫理
4)地球における生命のひとつとしての倫理
3.5.Leave No Trace
1)事前の計画と準備
2)影響の少ない場所での活動
3)ゴミの適切な処置
4)見たものはそのままに
5)最小限のたき火の影響
6)野生動物の尊重
7)他のビジターへの配慮
4.環境に関する法規
4.1.自然公園法
国立公園34箇所2,190,792ha(国有60%/公有13%/私有26%不明1%)国定公園56箇所1,409,727ha(国有44%/公有14%/私有42%)(2023)
(目的)第1条 この法律は、すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図り、もって国民の保健、休養及び教化に資することを目的とする。
(定義)第2条 自然公園とは、国立公園、国定公園及び都道府県立自然公園をいう。
(特別地域)第20条第3項 次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。
1工作物の新築、改築、増築
2木竹の伐採
3指定区域内での木竹の損傷
4鉱物、土石の採取
5河川、湖沼の水位、水量の増減
6湖沼、湿原への汚水の排出
7広告物の設置
8物の貯蔵
9水面の埋立
10土地の形状変更
11高山植物の採取、損傷
12木竹以外の植物の植栽、播種
13動物の捕獲、殺傷、卵の採取、損傷
14動物の放出(家畜を除く)
15屋根、壁面、塀、橋、鉄塔、送水管の色彩の変更
16指定区域内の立入
17指定区域内の車馬の乗入
(特別保護地区)第21条第3項
1前条第3項各号に掲げる行為
2木竹の損傷、植栽
3家畜の放牧
4物の集積
5火入、たき火
6植物、落葉、落枝の採取
7動物の捕獲
8車馬の乗入
4.2.ラムサール条約
1)正式名称:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約
2)制定:1971
3)目的:湿原の保全に関する国際条約
4)日本の登録湿地:50箇所
・釧路湿原
・伊豆沼
・尾瀬沼
・琵琶湖
・屋久島永田浜
・沖縄慶良間諸島海域 他
4.3.世界遺産
1)正式名:世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約
2)制定:1972
3)日本の文化遺産:18箇所
4)日本の自然遺産:5箇所
・屋久島(1993)
・白神山地(1993)
・知床(2005)
・小笠原(2011)
・西表島(2021)