野外研修指導ガイドライン

野外研修指導に関するガイドライン

1.学習の個別性
 野外研修は、個人及び集団の具体的な体験をもとに学習する「体験学習理論」を基礎としています(Dewy, 1938)。そのため、研修目標の達成に資する学習内容で構成している一方で、それぞれの集団の体験、及び個人の学習内容と学習量は、均質・同一ではなく個別性の高いものとなります。

2.指導の個別性
 野外研修を指導するカウンセラーは、参加者の状況(集団成熟度、経験・能力、危機場面等)に応じ、最適なリーダーシップスタイル(指導型、提案型、参加型、放任型)を選択する野外リーダーシップ状況理論(Priest, 1989)を採用しています。また野外リーダーシップの構成要素に指導者の気質が含まれることを認めています(Jack, 2003)。よって、それぞれのカウンセラーは、画一的なリーダーシップスタイルを発揮するのではなく、参加者の状況や指導者の特性に合わせて最適なアプローチをいたします。

3.プログラムの柔軟性
 野外研修のカリキュラムは、研修目標の達成に向けて事前に計画されます。しかし、上述した体験学習理論に基づき、参加者の成長のためによりのぞましいと考えられる場合、または、様々なリスク要因(例えば、天候、健康、事故など)をコントロールする必要性が生じた場合、適宜、柔軟性をもってプログラムを変更することがあります。その際、プログラムディレクターは、貴社現場責任者と協議の上で、決定致します。但し、変更に緊急性があり、変更のための協議が物理的に不可能である場合、この限りではありません。

4.危機対応
 野外研修中のウィルダネス状況下(きびいし自然環境下において、医療従事者による処置を受けるまでに長時間を必要とし、持ち合わせている医療器具に限りがある状況)で発生した事故に対して、別紙野外研修医療プロトコルに従い処置を行います。また、処置の前提として、日本国内では医業(医療従事者が「業」として医療行為を行う)以外のあらゆる医療行為(都市下でのCPR, AEDを除く)を保護する法律がないこともあらかじめ認識しなければなりません。

5.カウンセラーへのクレーム
 野外研修において、カウンセラーは、上述したすべての不確実性に対して、野外研修処理論、個人の経験・能力を統合し、そのとき考えられる最適な判断に努めます。しかし、貴社現場担当者がご自身の判断と大きく異なると感じられた場合、カウンセラー本人に直接的に伝えるのではなく、プログラムディレクター若しくはWS担当者に遠慮なくご意見をください。カウンセラーの判断を乱す要因は、結果的に参加者の学習効果に悪影響を及ぼす可能性があるため、万全を期したいと考えます。また、プログラムディレクターの判断に疑問や不満がある場合は、WS担当者に遠慮なくご意見ください。

6.学習効果の代償作用
野外研修の効果には、プログラム、参加者、指導者、環境の4つの要素が影響を与えます。その一つが効果に対して反作用に働いた場合、残りの3つの要素が効果を高めるように作用します。例えば、天候がよくない場合、参加者は好天時よりも健康の維持に努力します。また、参加者が荒天に対応できない場合は、指導者の介入の程度を増やします。一つの要素が不十分でも、他の要素がそれを補い、事前に設定した高い効果を維持することができます。

現場担当責任者:

株式会社○○○○現場担当者

backcountry classroom Inc.現場責任者: