COVID-19ガイドライン

野外研修において、参加者との共同生活、集団活動は、感染のリスクを高める。一方で、これらは、研修の効果を高めるために重要な要素である。このガイドラインは、COVID-19のワクチンが開発され、かつ治療法が確立されるまでの間、感染リスクを最小限に抑えながら、参加者の高い学習を保証するための基準を示す。これらの基準は、クライエント、参加者、指導者が全ての基準に従うことを前提としている。また、S/Sx、病歴、COVID-19感染者との接触の情報は、安全に研修を行う上で最も重要である。これらに誤情報があると、コースの安全を維持できず、途中で中止せざるを得ないこともある。

前 提

1)全てのコース、政府、及びクライエント所在地、参加者が居住する地域、かつ研修会場のある地方自治体のガイドラインに従う。

2)山岳活動について日本山岳ガイド協会の緩和基準に従う。原則ステップ3以下で研修を行う。ただし、ステップ2の場合は、以下の条件を満たす場合、相当の注意を払って研修を行う。
①ステップ1(緊急事態宣言下):野外研修を自粛する。
②ステップ2(緊急事態宣言解除かつ開催地の医療体制もしくは観光インフラに制限あり):自家用車もしくはクライエントの手配するバスによる移動、一人用テント、スタッフレシオ1:4、最大15名、感染リスクの高い参加者不可
③ステップ3(緊急事態宣言解除かつ開催地の医療体制及び観光インフラの平常化):公共の交通機関による移動、共同テント、スタッフレシオ1:8、1ユニット最大30名、感染リスクの高い参加者不可(レベル1のみ参加可能)
④ステップ4(新規感染者途絶もしくは、ワクチン開発かつ治療法確立):通常のBC運行規定
※65際以上、慢性呼吸器疾患、中-重度の喘息、全ての免疫不全、肥満(BMI40以上)、糖尿病、腎疾患、肝疾患

3)WMTCの感染リスクの基準に従い、レベル3以下の感染リスクを維持する。
①レベル1(非常に低い感染リスク):参加者は、抗体検査検査もしくはPCR検査で合格したもののみ参加し、コース中は集団隔離される。
②レベル2(低度い感染リスク):参加者はコース前に最低7日間集団隔離され、コース中も集団隔離される。
③レベル3(中度の感染リスク):参加者はコース前に最低7日間自己隔離し、コース中も集団隔離される。
④レベル4(中度+の感染リスク):参加者はコース前に7日間の自己隔離を推奨されるが、必須ではない。コース中は集団隔離される。コース中は強度の感染予防対策をとる。
⑤レベル5(中度の++の感染リスク):参加者はコース前に7日間の自己隔離を推奨されるが、必須ではなく、コース中に集団隔離されない。コース中は完全の感染予防策をとる。

 信頼できるCOVID-19ワクチンが開発された場合

研修前スクリーニング
・COVID-19ワクチンの証明書を必要とする。

研修中
・一般的な野外の感染予防対策をとる。

 信頼できるCOVID-19ワクチンが開発されていない場合

研修前スクリーニング
・参加者が過去2週間以内にCOVID-19感染者と濃厚接触をしていない。
・参加者の居住地、職場及び研修地が所在する市区町村もしくは隣接する市区町村で過去2週間以内に市中感染が起こっていない。
・全ての参加者と指導者は、健康調査票(含む、循環器系・呼吸器疾患、腎疾患、COVID-19接触歴)を提出する。

 研修前検疫
1)レベル1:できる限り研修直前に抗体検査検査もしくはPCR検査を行い、合格後厳重に集団隔離、もしくは自主隔離しする。陽性の場合、参加を辞退する。
2)レベル2:参加者全員が、参加前の7日間集団隔離する。
例:職場での参加者集団以外との接触、テレワーク、自宅学習
3)レベル3:参加者全員が、参加前の7日間自己隔離する。
例:職場での他の社員との非接触、テレワーク、自宅学習
4)バイタルチェック:レベル2、3において、参加前の7日間、毎朝体温をチェックする。一度でも37.5℃を超えたものは、参加を辞退する。

 移動
1)ステップ2:自家用車もしくはクライエントの手配するバスによる集団移動。バス乗車中はマスクを着用する。ただしレベル1の場合マスクは不要とする。
2)ステップ3:マスク着用など感染予防策をとって、移動手段に制限はない。ただし、混雑時、繁忙期を避ける。

 バイタルチェック
・研修前検疫中に参加者は毎朝体温を測定する。
・コースの最初に、参加者、指導者全員の平常時バイタル(心拍数、呼吸数、BP、血中酸素含有量、体温)を測定する。
・朝夕の体温チェック
・朝夕の血中酸素含有量のチェック(標高が変わる場合信頼できない)
・毎晩の健康チェック(味覚嗅覚障害、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、喉の痛み、空咳、鼻水、鼻詰まり、目の充血、腹部/脚部の発疹、呼吸困難(息切れ)、悪寒、頭痛、関節痛、筋肉痛)

 PPE(マスク、グローブ、ゴーグル)
・屋外にてPPEは不要とする。ただし、レベル2、3の場合、一定のソーシャルディスタンスを保つ。
・参加者は研修日数分のマスクを持参し、移動時、室内研修時及び、屋外で濃厚接触する場合に着用する。ただし、レベル1では不要とする。

 コースサイト
・COVID-19の検査ができる医療施設を確認する。
・医療機関に搬送できる予備の乗用車を準備する。

 野外生活
・ステップ2の場合、一人用テント、もしくは宿舎では一人で寝る。ただし、レベル1の場合、共同テントを用いることができる。
・ステップ3の場合、共同テントを用いてできる限り少人数で寝る。ただし、レベル1の場合、通常の人数まで可能とする。
・トイレセットは、各自準備する。ただし、レベル1の場合は共同で使うことができる。
・トイレの後は、必ず手を洗うか、消毒する。
・公共のトイレを使う時は、原則施設の利用方針に基づくものとするが、ハイタッチサーフェイス(ドアノブ、蛇口など)への接触をできる限り抑える。トイレ施設からでた段階で改めて手を消毒する。
・洋服は、毎日着替え、体の衛生管理に務める。使用した衣類は、スタッフバック等に入れ、各自が管理する。

 調理・食事
・食器、マグカップ、カトラリーは個人で準備し、共用しない。
・行動食(トレイルフード)は、事前に一人用に小分けし、個人が準備する。ただし、レベル1の場合、共同で準備することができる。
・調理前に手を洗う、もしくは消毒する。
・使用する調理器具、食器、カトラリーは全て煮沸殺菌する。
・全ての食材は82℃以上に加熱調理する。
・個人のカトラリーで盛り付けをしない。
・使い終わった調理器具、食器、カトラリーは全て煮沸殺菌する。
・調理、食事中は、調理するものをできる限り少なくし、ソーシャルディスタンスを心がける。

 研修室
・できる限り屋外を推奨する。
・室内の場合、参加者同士2m以上距離をとり、十分な換気を行う。レベル2、3ではマスクを着用する。
・できる限り、グループで隔離した場所で研修を行う。
・共有部分はこまめに消毒する。
・物理的な距離がわかるためのテープ等の目印を設置する。

 指導者
・コース前に7日間の自己隔離と自己観察を行う。
・コース中は、自己隔離と自己観察を行う。
・屋内で参加者との距離が3m以内になる場合、フェイスシールドを着用する。

 生徒
・コース開始前、もしくは募集時に、リスクについて説明する。
・検疫中に毎朝体温を測定する。
・COVID-19専用のリリースフォームを用いる。
・マスクを研修日数分持参する。
・食器、カトラリー、マグカップを持参する。
・手の消毒薬を持参する。
・公共の交通機関で移動中に、感染予防対策を十分にとる。

 COVID-19のS/Sxが見られた場合のアクションプラン
・直ちにコースから外して、医師の診断を受ける。
・COVID-19検査が陽性でなければコースは続ける。

 COVID-19検査が陽性の場合のアクションプラン
・直ちにコースを中止して、個人用の部屋、テントに参加者を2週間隔離する。
・参加者のCOVID-19のS/Sxを観察する。
・コースサイトで隔離できない場合、コース近くの宿泊施設で2週間自己隔離を手配する。